「クイーンズブレイド」シリーズのところで書きましたホビージャパン社も、FFシリーズを復刊させております。
『デストラップダンジョン』
と
『ハウスオブヘル』
にございます。
社会思想社版の、
FF6 「死のワナの地下迷宮」
FF10 「地獄の館 」
に当たる作品ですな
タイトルは、
近頃の映画のタイトルに倣(なら)ったのでございましょうか。
英題をそのままカタカナにしただけ。
こういうのは、センスが感じられないと申しますか、味気ない感じもいたします。
ホビージャパン社のこれらのFFシリーズの復刊は、
大きな特徴がございます。
実際に目にした方は、すぐにわかりましょう。
「クイーンズブレイド」の成功に気を良くしたか
ライトノベルの棚から撤去されないための対策か、
マーケティングとやらの成果なのか。
はたまた、表紙買いをする人を騙そうとする魂胆か、
イラストが、ライトノベル風に主人公の少女を中心としたものになっております。
主人公の少女?
そう、ホビージャパンのこのシリーズでは、主人公のキャラクターが決まっているのですな。
口絵イラストには、少女の性格や身長、スリーサイズまで書かれているのでございます。
無色透明な主人公であった社会思想社版(と原書)からの、これは大きな変更点と申せましょう。
海外作品のイラストを変更することには、わたくしは大いに賛成でございます。
TRPGとか、ゲームブックにいたしましても、イラストがしょぼかったり、日本人好みじゃなかったり……、というのが良くございますからな。
ただ、この場合は……。
これはまさに「クイーンズブレイド」と同じ手法、
原作破壊系でございますな。
「クイーンズブレイド」の原作である「ロストワールド」の場合は、
本文中に物語要素がございませんから、この方法論が通用いたしますが、
FFシリーズは物語がございます。
主人公は、よく言われるように確かに「無色透明」ではございますが、
その世界は主人公を規定するように雰囲気が作られております。
それに、色をつけたのでございますな。
ゴシック建築にポップアートの色を塗りたくるかように……。
逆の喩えを申しますれば、ドラゴンボールが実写になったようなとでも、申しますか。
まぁ、ドラゴンボールを実写でなんて、そんなムチャな話はだれも考えないでしよう!
あり得ない話でございますな。
いずれにせよ、困惑してしまうことは事実でございます。
これが、リアルな、もしくは情感あふれるイラスト
--ゲームブックの挿し絵を描かれている方でしたら、たとえば--
米田仁士先生ですとか、
天野嘉孝先生ですとか、
山田章博先生ですとか
でございますな。
そういう方のイラストでございましたら、物議を醸し出すこともなかったでございましょう。
もっとも、このシリーズの場合、物議を醸し出すことが狙いの一つだったと考えられますので、
その戦略にまんまと乗せられた形となるのでございますが。
とは申せ、わたくしは完全否定の立場ではございませぬ。
プレイしていて、意外に違和感を感じはいたしませんでしたし。
社会思想社版と、ホビージャパン社版、両方が選べるような環境でしたらアリだと思うのでございます。
☆ ☆ ☆
イラストの変更については、海外作品のみならず、日本文学作品であっても、わたくしは賛成でございます。
ただし、やはり、変更アリとナシ、両方が用意されている場合においてと申すことでございますが。
集英社文庫で、昨年、日本文学の表紙をマンガ家が描くという企画がございましたが、こういう試みはもっと続けて欲しいものでございます。
表紙だけといわず、本文中にも挿絵をたくさん入れて欲しいものでございます。
ただね、『伊豆の踊子』の荒木飛呂彦先生は、さすがにミスチョイスでございましょう。
川端康成なんてロリコンなんだから、
もえもえのロリ絵のほうが、作者も喜ぶと思いますのに--。
……
……
いえ、なんでもございませぬ。
☆ ☆ ☆
何か長くなってしまったので、今回はここまで。
次は、文章とかシステムとかについて書いてみたいと存じます。
現在入手可能な作品の紹介なんて、一回で終わる予定でしたのに--。
他の方に任せてしまったほうが良かったのかもしれませぬ。