で、そういうゲームブックもあっていいのでございますが、
困ったことにわたくしは、そうした「攻略」を主眼としたゲームブックを目指していないのでございます。
ゲームブックのウリの一つといたしまして、「何度でもプレイできる」ということがございます。
が、攻略を主体としたゲームブックの場合、この意味合いが微妙にずれてまいります。
すなはち、「何度でもプレイできる」というよりもむしろ、「何度もプレイしないと楽しめない」という具合になるのでございますな。
わたくしといたしましては、何度もプレイしなければ本当には楽しめない、ではなく、
単純に何度でも楽しめる、ものをめざしていきたいものでございますから、
自分で作るとすれば攻略を主眼としたものにはならないつもりでございます。
具体的には? でございますか?
ふぅむ、難しゅうございますなぁ……。
ゲーム的な面から申しますれば、わたくしにとっては
『火吹山の魔法使い』はそれでございましたな。
適度な長さ、適度な妖怪の強さ……。
攻略を旨とすると、簡単な部類に入ってしまうのでございましょうが、
ゲームとしては、勝ったり負けたりできて楽しかった記憶がございます。
ゲームブックの遊びとしての要素では、
『魔城の迷宮』でございますか。
この書は、攻略的にも楽しめますが、単純に迷路ゲームとしても楽しいのでございますな。
ですから、攻略が終わったあとでも、
ここからここまで、というふうにスタートとゴールを決めて、
何度も何度もルドゥスをさまようことができるのでございます。
物語的には、マルチエンディングで、そのエンディングに優劣のあまりないタイプ。
まあ、優劣がある場合もございますが、明確な序列がないタイプでございますな。
具体的には、
『天国か地獄か恋と遊ぶゲーム』や
『ダービースタリオンゲームブック』あたりを挙げておきましょう。
もっとも、『ダービースタリオンゲームブック』は知っていても、
『天国か地獄か恋と遊ぶゲーム』は、ご存知ない方も多いやもしれませぬが。
『天才コンピュータAI-32』など、講談社から出版されたバンタム社のいくつかのゲームブックもこれに含まれますが、内容量の問題でちょっと……でございます。
エンディングがいくつもあって、それらに優劣があまりないのであれば、攻略というよりも物語を楽しむことがメインとなりますな。
実際には、攻略的な要素もあるとか、すべてのエンディングを見るのには攻略的な方法が必要になってくるだろう、という意見もございましょうが、まぁ、
「何度もプレイしなければ楽しめない」ではなくて、
「何度でも楽しめる」、ゲームブックではございましょう。